2016年9月10日土曜日

谷賢一氏の「テレーズとローラン」 この戯曲スゴイ!

先日、地人会新社 第五回公演「テレーズとローラン」 を見た。

しばらくリハビリ生活で、ほとんど芝居も見ていなかった。
久々に谷君から、近況報告&舞台のお知らせをもらって、演劇生活復帰!って感じで、いそいそと出かけた。

いや、なにコレ!戯曲として、スゴイ好きかも!!!
4人しか出演していないので、各々の演技ももちろんだが、台本として、面白かった。


「テレーズとローラン」。原作はもちろん、エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」。
往年の名作映画「嘆きのテレーズ」の原作といえばわかる方も多いかと。
舞台では、「テレーズ・ラカン」として、2度ほど見た。
もちろん、興味深いものだった。戯曲「テレーズ・ラカン」も好きな作品の一つだ。
ただ、頑張らばなくては見られない古典の一つ・・・という印象だった。
上演時間も、おそらく休憩15分入れて2時間半くらいの大作だったと記憶している。
「いい芝居だけど、た~いへん」だった。


だが、今回見た、谷君の「テレーズとローラン」は、原作と時間軸をまったく逆に作ってある。
スピード感にあふれ、作品の軸をすっきりくっきり描き出してくれたような鮮やかさがあった。

物語は、1867年フランス・パリ。ローランとの不倫に走り、元夫・カミーユを殺害するテレーズ。
ま、ぶっちゃけ、「ゲス不倫」の話なのだが、その中に、テレーズがこの凶行に走った心情なども、時代背景と共に描かれている。
見ている途中、時間的にもスピーディな「谷・テレーズ」では、「その辺りが不十分で、テレーズがただの『ゲス不倫女』になってしまうのでは・・・!」と心配しながら見ていたが、見事だった。
テレーズの義母・ラカン夫人を演じた銀粉蝶さんがすごいのか、本がすごいのか・・・!
後半のわずかな二人の会話で、テレーズがどんな虐げられた状況で暮らしていたかがわかった。それも、いわゆる目に見える虐待ではなく、お互いの生き方の違い・・・
テレーズ側からは、そうしなければ生きていけない環境。
ラカン夫人側からは、息子・カミーユへの溺愛でちょっと歪んでしまっている親子関係。


見事だなぁ・・・
こんな風に作れるんだ、芝居って・・・
びっくり!!!


原作・「テレーズ・ラカン」は1867年の作品。
1867年といえば、日本はまだ幕末。なんと坂本龍馬が暗殺された年だ。
もちろん、今までの「テレーズ・ラカン」の方が、その時代的な雰囲気。その頃のパリの庶民の暮らし。その中で溺れそうなテレーズ、ローラン、カミーユという三人の若者たちの関係性など、じっくり描かれている部分は多いと思う。
だが、映画とか舞台とか、ほぼ2時間が通常の表現形態で、この「テレーズとローラン」は凄かった!
シンプルというのはこんなにも美しいのか!


残念なことに、ちょっとお客さんが薄い。。。
制作さんに頑張って欲しい!

こちらです。
地人会新社 「テレーズとローラン」  http://www.chijinkaishinsya.com/newproduction.html